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Ai ノクトニッコール 58mm f1.2とは
美しい夜景レンズ
Aiノクトニッコール 58mm f1.2は、絞り開放で夜景を撮るというコンセプトのレンズです。
「ノクト(Noct)」という名称は夜想曲「ノクターン(Nocturne)」から名付けられており、同様のレンズにはライカの「ノクチルックス」、フォクトレンダーの「ノクトン」といった大口径レンズがありますが、ノクトニッコールの最大の特徴は、夜景や天体写真などの点光源フレアを防ぐ特殊な設計が施されていることです。
絞り開放から「点が点に写る」
ノクトニッコールは、大口径レンズの特徴を活かすために絞り開放から優れた描写性能を発揮するように設計されています。
一般に大口径レンズでは、絞り開放付近で点光源などが鳥が翼を広げたようなフレア(サジタルコマフレア)を帯びて写ってしまいます。絞り込めば解消されるものの、それでは大口径レンズの意味が無くなってしまいます。
そこでノクトニッコールでは、色収差と球面収差の補正が良好なガウスタイプのレンズに高屈折率ガラスを用い、さらに一番大きな前玉を非球面レンズとすることで、問題となるサジタルコマフレアを従来のレンズとは比較にならないほど補正することに成功したのでした。
絞り開放からフレアの少ないシャープな像を結ぶために、今までは三脚にカメラを据えてじっくり撮らなければならなかった夜景撮影も、絞りを開けたノクトニッコールを使えば、手持ちの撮影ですらクッキリと写すことが可能となったのです。
オールドレンズらしい「昼の顔」
夜景の撮影で威力を発揮するノクトニッコールは、昼間の明るい場所でも一般的な標準レンズとして優秀な写りをします。
特に開放f値1.2の浅い被写界深度を活かした撮影は他のレンズにはないほど大きくボケます。70年代の設計らしいクセのあるボケで、幻想的な描写はボケ量と相まって素敵です。f5.6まで絞ればクッキリと解像するオールドレンズらしい絵の変化も楽しめます。一度で二度美味しいレンズです。
伝説的レンズとなったノクト・ニッコール
点光源を絞り開放からシャープに写すレンズだけあって、その設計・製造は特殊なものでした。生産から検査までこのレンズだけは独自の工程で行われ、品質管理に大変なコストの掛かりました。
売れば売るほど損が出るとまで言われたほど手間ひまを掛けて作られたノクトニッコール。中古でも流通量は少なく、非常に高値で取引されています。
最近ではノクトニッコールの設計思想を受け継ぎ、更なる画質を目指した「AF-S NIKKOR 58mm f/1.4G」が発売されていますので、より高性能なレンズをお求めの方はこちらもご検討ください。
現在のオークション出品
バリエーション
- 初代
- 7枚絞り羽根タイプ。1977年から1981年まで製造されたグループです。
- Ai-S化
- 1982年から1997年製造のグループ。絞り羽根は9枚となった他、非球面レンズが採用されています。
最近「Ai ノクトニッコール 58mm f1.2」を話題にしたブログ
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スペック
- 発売日
- 1977-1981年(Ai-S:1982-1997)
- 絞り
- f1.2-f16
- 絞り羽根枚数
- 7枚(Ai-S:9枚)
- レンズ構成
- 6群7枚
- 最短撮影距離
- 0.5m
- フィルター径
- 52mm
- 重さ
- 465g(Ai-S:480g)
- 発売価格
- 150,000円/販売終了時168,000円