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HC ニッコール 5cm f2とは
日本光学製ライカLマウントの名玉
HC ニッコール 5cm f2は、日本光学(現ニコン)の製造したレンジファインダーカメラ向けレンズです。
元々は戦前にキヤノン用に供給されたレンズで、戦後もニコンSマウントとライカLマウントとして製造されました。
製造年代によっていくつかのバリエーションがあり、最終期のものは絞り値が読みやすいようにリングが黒地になった「黒帯」と呼ばれるモデルで、中古では人気があるようです。
距離計連動はしませんが、45cmまで接写ができます。ミラーレスカメラでの利用ではこのレンズの真価を存分に発揮できるでしょう。
「中身はカール・ツァイスでは?」と疑われるほどの性能
ニッコール5cm/f2を設計したのは、ニッコール5cm/f1.1など数々の名レンズを開発した村上三郎氏。カール・ツァイスのゾナーレンズを参考にした設計で、コーティング技術が発達していなかった当時、ガウスタイプではなくゾナータイプを採用したのはベストな選択でした。
絞り開放からしっかりと像を結ぶシャープさはゾナーを凌ぐとも言われ、「鏡胴は日本光学製で中身のレンズはツァイスではないか」と言われるほどの性能です。シャープで細い線とハイコントラストはゾナータイプならでは。性能の低下を招く近接撮影に対して、最短撮影距離を45cmとしたのも自信の表れかもしれません。
絞り羽根は11枚と多く、絞っても円形が保たれます。前後ボケとも美しく、ナチュラルでやさしい描写です。
手にして伝わる丁寧なレンズの造り
絞り羽根の多さからも伝わるように、レンズの造りは丁寧そのもの。
1mまで距離計が連動するカメラ側に合わせ、ピントリングは1m(3ft)まで回すとクリックして一旦回転が止まるため、ファインダーを覗いたまま、指先だけで限界が分かるようになっています。
日本的とも思える嬉しい配慮が組み込まれているところからも、当時のレンズ製造に対する真摯さが伝わりますよね。手にしておきたいのはこういうレンズではないでしょうか。
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スペック
- 発売年
- 1946年
- マウント
- ライカL/ニコンS
- レンズ構成
- 3群6枚(ゾナータイプ)
- 絞り
- f2-f16
- 最短撮影距離
- 1.5ft(0.45m)