ニッコール 5cm f1.1

Nikkor 5cm f1.1

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ニッコール 5cm f1.1とは

f1.1の大口径レンズ

ニッコール 5cm/f1.1は、ニコンSマウント及びライカLマウント用に製造された大口径標準レンズです。

1950年代、日本のレンズメーカーは大口径レンズ競争の真っ只中にあり、1953年の帝国工学工業製ズノー5cm/f1.1に次いで2番目の超大口径レンズの登場となりました。

その後、f1.0を超えるキヤノン50mm/f0.95が登場し、国産大口径レンズは世界を驚嘆させました。

困難を極めた開発

ニッコール5cm/f1.1は村上三郎氏によって設計されました。彼はW-ニッコール3.5cm/f1.8を手掛けた東秀夫氏の右腕的存在で、W-ニッコール3.5cm/f1.8と同時期にニッコール5cm/f1.1は開発されたのです。

レンズの光学設計では、今までニッコールが慣れ親しみ、また、ズノー5cm/f1.1でも採用したゾナータイプと訣別し、収差が少なく、超大口径レンズには有利なガウスタイプを採用しました。

コンピューターもない時代、膨大な計算量に加えて度重なる設計変更と試作の繰り返しながら二年の開発期間を要しました。当時新開発のランタン系ガラスを3枚使い、球面収差と像面歪曲を補正して鮮鋭度と像面平坦性が改良されています。

絞り値によって大きく変わる描写

レンズの大きさとは裏腹に、繊細で絞り開放ではやわらかな描写です。

ボケはラグビーボール型のビグネティングとコマ収差の影響で円弧状に渦を巻くように写ります。特徴的な癖であり、このレンズの魅力の1つです。

絞り開放からf1.4までは低いコントラストとベールのかかったような柔らかい描写があり、遠景での画面中央より周辺の解像が向上する性質もあります。

f2台では解像力とコントラストが向上し、暴れるボケ味も改善されます。f4~5.6では画面全体が安定してシャープになり、f8-16まで絞り込めば柔らかなまま繊細なシャープネスを得ることができます。

総生産本数3000本の極レア品

デジタルカメラの登場で再び脚光を浴びている大口径レンズですが、ニッコール5cm/f1.1は総生産本数約3000本と大変希少なレンズです。

この3000本には、ボディのギヤを使う内爪式、ヘリコイドのある外爪式、そしてライカLマウントが含まれます。

中古でも滅多に見かけることはなく、オークションで出品されているものは希少性からプレミアが付いていると思われますが、それにしても量が少な過ぎです。もし出品があれば、それは最初で最後のチャンスだと言えるでしょう。

現在のオークション出品

オークションの出品はないようです。

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スペック

発売年
1956年2月
マウント
ライカスクリュー(L)マウント
絞り
f1.1-f22
最短撮影距離
1m
フィルター径
62mm
重さ
400g