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ジュピター 9 85mm f2とは
安くて良く写るロシア製レンズ
ジュピター9は、「安くて良く写る」ロシア製レンズの魅力に溢れる中望遠レンズです。
第二次大戦後にドイツからカール・ツァイスの技術力を手に入れたソ連は、ゾナーのコピーレンズを製造していきました。ジュピター9はゾナー85mm/f2をベースに、モスクワ近郊のKMZ(クラスノゴルスク機械工場)の設計者"M.D.Maltsev"が再設計した改良レンズで、独自の進化が遂げられています。(なお、ゾナー98mm/f2のコピーとなるのは、前身のZK-85となります。)
ジュピターはライカのLマウント用、コンタックスのバヨネットマウント用、そしてM42マウント用のものがあり、複数回のモデルチェンジが行われています。シルバーのアルミ鏡胴タイプから、1963年から登場したブラック鏡胴のもの、レンズ表面のコーティングがシングルコーティングのものやマルチコーティングのものなどバリエーションが豊富です。
柔らかく、温調で濃厚な発色
美しい階調描写と安定感のあり、ボリュームのある素直な円形のボケ味が最大の魅力です。
そのため、ジュピター9はポートレートレンズとして絶大な人気を誇ります。絞り開放ではややソフトな像になり、ハイライト部にハロが掛かるソフトレンズライクな描写です。f2.8に絞ると全体にヌケが良くなっていき、コントラストの向上とともに発色が鮮やかになっていきます。
温調寄りの発色で温かみがあり、深く絞ってもなお階調が豊富な柔らかいレンズです。本家ゾナーと比較し、ジュピター9は階調重視の描写といえるでしょう。
15枚の絞り羽根で円形絞りを実現し、点光源も美しくボカします。拡散するようなボケよりも、ボリュームのある綿のような柔らかなボケ味も魅力の一つです。
コストパフォーマンスの高さが魅力
安くて良く写るレンズとして有名なジュピター9は、個体差もありますが今なおオールドレンズの中で魅力的な中望遠レンズの一つです。f2クラスとしてはかなりお買い得でしょう。
もちろん、基本はドイツのゾナーレンズの設計ですから、性能の高さは折り紙付きです。
2000年以降もLZPS製M42マウントのレンズが製造されていましたが、現在は製造中止となっており、このために中古価格が上昇を始めてしまっています。手に入らなくなる前に入手を急ぎたいレンズですね。
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スペック
- 発売日
- 1950年
- レンズ構成
- 3群7枚
- 絞り
- f2-22
- マウント
- ライカスクリューマウント、バヨネットマウント、M42マウント
- フィルター径
- 49mm
- 絞り羽根枚数
- 15枚
- 重さ
- 330g(Lマウント)
- コピー元レンズ
- ゾナー85mmF2