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ニッコール 55mm f1.2とは
大口径レンズへの技術の挑戦
ニッコール55mm/f1.2は、ニコンの一眼レフカメラ向けの大口径標準域レンズです。
一眼レフカメラ用のレンズは、一眼レフカメラの構造上、長いバックフォーカスを確保する必要があり、焦点距離が短ければ短いほど、光学設計に厳しい制約があります。
当時、他のメーカーも50mmから5mm伸ばした55mmレンズで開発を行いましたが、それでも大口径化は困難なようでした。ニコンは比較的早い段階で大口径化に成功し、他社に先駆けて55mm/f1.2を1965年に発売しています。
味わい深いサジタルコマフレア
ニッコール55mm/f1.2は、絞り開放での溶けるような滑らかなボケ味と柔らかなトーンが大変魅力です。その柔らかさを生み出しているのは、ベールのように覆うフレアです。
夜景での点光源には、シャープに細部を描いた像の上に鳥が羽を広げたような美しいフレアが発生します。画面周辺では円がラグビーボール型となり、幻想的な雰囲気を作り出します。
絞りをf1.4-f2に絞ると中心部のフレアーが改善され、f2.8からはフレアがほとんど消えて、解像感はぐっと向上します。
さらに絞り込んでf5.6-f8になると画面全体はシャープになり、全絞り域の中では最高の画質となります。絞りの値によって描写の性質が変化するのは、オールドレンズの一本で二度美味しいところです。
なお、同じf1.2クラスのレンズでサジタルコマフレアを打ち消したレンズに、夜景専用と謳われた「ノクト・ニッコール」があります。
立体感の凄さ
癖のある描写のなかに、このレンズならではの上品さがあります。絞り開放時のフレアはポートレートでは肌を美しく魅せるためのスパイスとなりますし、溶けるようなボケは破綻なく滑らかさを引き出しています。
そしてピント面とボケによる立体感の表現は非常に優れています。積極的に絞りを開けて撮影したいレンズです。
オシロ・ニッコール(CRTニッコール)
「Oscillo-Nikkor 55mm/f1.2」あるいは「CRT Nikkor 55mm/f1.2」というレンズがあります。
焦点距離と絞りは同じですが、このレンズはオシロスコープなどの映像を撮影するためのものです。1964年に登場し、近紫外線域の波長を撮ることに対応しています。
解像力は250本/mmであり、近距離撮影時にも極めてシャープな像を結びます。極めて特殊なレンズですが、オーションなら出品されているかもしれませんね。
現在のオークション出品
バリエーション
- ニッコールSオート 55mm/f1.2
- 1965年発売。ガウスタイプ5群7枚。最短撮影距離60cm。
- ニッコールSCオート 55mm/f1.2
- 1972年発売。マルチコート化されたモデル。
- ニューニッコール 55mm/f1.2
- 1975年発売。絞りリングが金属からゴム巻きへ変更したモデル。
- Aiニッコール 55mm/f1.2
- 1977年発売。Ai対応モデル。変形ガウスタイプ6群7枚への光学系変更あり。最短撮影距離50cm。
- Aiニッコール 55mm/f1.2S
- 1981年発売。Ai-S対応となった現行品
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