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ニッコール 50mm f2とは
備えるべき王道レンズの一本
ニッコール50mm/f2は、ニコンの一眼レフ用標準レンズです。
初期に登場した「ニッコール S オート 50mm/f2」は、1959年にニコンFが登場し、備えるべきレンズの王道セットとして挙げられた「28mm/f3.5」「50mm/f2」「135mm/f3.5」のうちの一本となります。
ニッコールSは4群6枚のガウスタイプレンズの前面に度の弱い凹レンズを一枚置き、レンジファインダー向けより長いバックフォーカスを確保した7枚構成レンズでした。
5年後に発売された「ニッコールHオート50mm/f2」からは光学設計技術の進歩によってオーソドックスな4群6枚構成のガウスタイプレンズへ光学系を一新しています。この頃のニッコールレンズは線の細い柔らかい描写が特徴です。
甘さと切れの描写
レンジファインダー用のゾナータイプレンズ「ニッコールHC50mm/f2」は名玉として高い評価を受けていましたが、ガウスタイプのニッコール50mm/f2はどのような描写のレンズなのでしょうか。
ガウスタイプレンズは大口径標準レンズや中望遠レンズなどに使われ、色収差と球面収差が良く補正されます。点光源に鳥の羽のようなベールが掛かるようなサジタルコマフレアも少なく、画面の均質性が高いのも特徴です。
ニッコールといえば硬くシャープなレンズというイメージがありますが、絞り開放では線の細い繊細な描写、絞ればカチッとしたコントラストのある描写と絞り値によって変化の出るレンズです。
ニッコール50mm/f2の性格が最も良く出るのは絞り開放時の描写。ハイライトにベールを掛けたようなフレアが幻想的な雰囲気を創るとともに、芯のある繊細な描写で被写体の細部を描きます。背景ボケは賑やかになりがちですが、前ボケは柔らかく美しいレンズです。珍しい偶数枚(6枚)の絞り羽根は、絞り込んだ際に点像のボケに六本の光芒を生じさせます。
近接撮影時の性能劣化が少なく、最短撮影距離も0.45mと近くまで寄って取ることもできます。ポートレートにも活用できるレンズですね。
そして製造終了
当初主力だった50mm/f2レンズは、その後f1.4が主流となっていきました。その後もニッコール50mm/f2は併売を続けていましたが、ラインナップにはニッコール50mm/f1.4とニッコール50mm/f1.8が残り、最後のモデルであるAiニッコール50mm/f2はその登場から二年弱で製造が中止されました。
今となっては決して目立った大口径ではない50mm/f2レンズですが、決して廉価版という位置づけではなく、販売価格は他社のものより高く、値引きはなかったようです。
ネット上でこのレンズの評価を見る限り「分かる人には分かる、通なレンズ」のような印象を受けました。オールドレンズ遊びには最適な一本です。
現在のオークション出品
バリエーション
- ニッコール S オート 50mm/f2
- 1959年6月発売。最初のニコンF標準レンズとして登場。5群7枚構成。
- ニッコール H オート 50mm/f2
- 1964年1月発売。光学系を4群6枚へ一新。
- ニッコール HC オート 50mm/f2
- 1972年12月発売。光学系をそのままにマルチコート化したモデル。
- ニューニッコール 50mm/f2
- 1974年11月発売。最短撮影距離を0.45mに変更
- Ai ニッコール 50mm/f2
- 1977年3月発売。Ai対応モデル。開放F値を明るくした「ニッコール50mm/f1.8」の発売で普及版レンズとしての役目を終え、1979年1月に生産終了。
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