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ズミクロン 50mm F2とは
ライカレンズの代表格
ライカの高性能なレンズの中でも代表格の一つと数えられるのが、このズミクロン50mm/f2です。
ずば抜けて性能が良く、1959年の雑誌アサヒカメラによる性能テストでは、絞り開放での中心解像度が測定限界を超え、その後50mm/f2級レンズでは何十年と記録を破られることはありませんでした。
空気層と新型レンズ
ズミクロン50mm/f2は、発売当時、空気レンズを使用していることで話題となりました。空気レンズとは前玉2枚を擦り合わせ面を分離して空気の層を作ったレンズのことで、光学特性を変化させ、先代のズミタールにあったコマ収差を補正し、飛躍的に描写力が向上しました。
初代は1953年にバルナックライカ用のスクリューマウント版で登場し、M型ライカ登場後にはMマウント用として作られるようになりました。沈胴式の携帯にコンパクトなレンズで、最初期のものは高性能なトリウムレンズが世界で初めて採用されました。
トリウムレンズとは、いわゆる「アトムレンズ」と呼ばれる放射性のあるレンズで、フィルムに観光しない程度の放射能を帯びています。モノクロ撮影にて素晴らしい描写をすることで有名です。
劣化によってレンズが黄色に変化するため、まもなく高屈折ガラスのランタンガラスに変更されるようになりました。
近くまで寄れるデュアルレンジ
近接撮影のためのデュアルレンジ・ズミクロン(DRズミクロン)は、メガネと呼ばれる専用のアタッチメントを付けることによって、元々の最短撮影距離を下回る、90cm~48cmの距離で撮影することができるようなっています。
その仕組は大変巧妙に造られていて、メガネを付けたままで通常撮影は出来ず、メガネを付けないと近くを撮れないよう、メカニカルな安全装置が組まれています。これによって、謝った操作のままで撮影することはありません。
近くのものにピントを合わせるにはより高い精度が求められるため、デュアルレンジ用のズミクロンレンズは、製造過程でより品質の高いものを特別に選んで使用したと言われています。
そのようなズミクロンが、メガネを無くした状態で中古市場で安く流通していることも多いようです。
絞り開放から完成された描写
ズミクロン50mmは言うまでもなく万能なレンズで、完璧とも言えるほど絞りを開けても絞ってもシャープな描写が得られます。
階調表現も美しく、どのような条件でも安定した画像の得られる優等生レンズです。
現在のオークション出品
バリエーション
- L/Mマウント
- ズミタールの後継として登場し、最初代は沈胴式を採用しています。一部のロットに放射能を持つトリウムを使ったレンズが採用されていて、経年劣化で黄色く変色している個体もあります。
- デュアルレンジ(DR)
- 1956年発売。「メガネ」と呼ばれるアタッチメントを付ける事で48cmまで寄って撮影することのできるレンズです。レンズ単体で精度が高く、メガネを無くして安く売られているものはねらい目です。
- 第2世代
- 1969年発売。ピントを調節するレバーが無くなり、レンズ構成が変更になったモデルです。
- 第3世代
- 1979年発売。カラー撮影用に再設計されたニュージェネレーションレンズでコントラストが高められています。
- 第4世代
- 1994年発売。フードが内臓式に変更されています。
最近「ズミクロン 50mm F2」を話題にしたブログ
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スペック
- 発売年
- 1953年
- マウント
- ライカL/Mマウント
- レンズ構成
- 6群7枚(第1世代)、5群6枚(第2世代)、4群6枚(第3世代~)
- 絞り
- f2-f16
- 撮影距離
- 1.0m(第一世代)、0.7m(第2世代~)-無限
- フィルター径
- 39mm
- フード
- SOOPD,SOOFM