ズミルックス 35mm F1.4

Summilux 35mm f1.4

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ズミルックス 35mm F1.4とは

人々を魅了する初期ズミルックスの「クセ玉」

ズミルックスM 35mm f1.4は、「クセ玉」として名の知れた有名レンズです。クセ玉とは絞り開放時に個性的な描写をするレンズのことで、なんでも優秀に写してしまう現代のレンズラインナップの中で特にいま注目を集めています。

クセ玉としての性能を発揮するのは初期の第1世代、第二世代のモデルです。線の細い繊細な描写に加え、夜間の点光源では画面周囲にいくほど鳥が羽を広げたようなサジタルコマフレアが発生し、幻想的な雰囲気を作り出します。1990年に登場した第三世代からは非球面レンズを使用して性能が飛躍的に向上し、こうしたフレアは抑制されて繊細さに一層磨きがかかりました。

滲みのレンズとは

ズミルックスの最大の魅力は背景ボケの滲みです。シャープなピント面から水で滲んだように溶け出していくボケ味はズミルックスならではのレンズの味。レンズのボケ味には綿のようにふわっとしたもの、芯のある固いものなど様々ですが、ズミルックスのボケはゼリーのように瑞々しいのです。テイストを真似たレンズはあっても、本家ズミルックスの醸し出す雰囲気は本物。本物であるからこそズミルックスの人気は今でも衰えません。

人気の高い第1世代ズミルックス35mm

ファーストモデルのズミルックス35mmは、数あるライカレンズの中でも1,2位を争う人気のレンズです。絞り開放での柔らかな描写はクセのあるオールドレンズの中でも際立った個性があります。

被写体を繊細かつシャープに解像しつつ、ハイライトのヴェールで包み込むような柔らかい描写は、現代のレンズでは得られない美しさです。二段絞り込めば驚くほどのシャープさで、一本のレンズで2つの魅力を堪能出来ます。

また、モノクロ主流時代のレンズですので、柔らかなコントラストで良好な階調表現が得られます。特にプリント時のシャドートーンは美しく表現されます。希少なレンズで生産本数は400本程度しかありません。

手書き非球面レンズの第二世代

第二世代ズミルックスは、職人の手磨きによって製造された非球面レンズを用いたモデルです。外観は第三世代と同じですが、レンズ前面にある非球面であることを意味する刻印が「ASPH.」ではなく、「ASPHERICAL」と表示されているのが特徴です。

描写傾向は、初代と異なり開放からシャープな質感に変わりました。含みのあるボケ味で柔らかくふっくらとした独特な写りは初代の良さを受け継いでおり、第三世代以降とは新旧レンズとしてはっきり区別されています。

希少性の高いレンズですが、柔らかさと高い描写性能を両立したモデルとして大変魅力です。

二枚の非球面レンズで描写性能を向上させた第三世代

1990年に登場したズミルックス35mmは、非球面レンズを二枚も採用し、旧モデルよりも飛躍的に描写力を向上させています。

絞り開放でも光のフレアが少なく、逆光や人工光にも強くなったことで、元々のズミルックスの繊細な描写をヌケの良さが一層引き立たせています。また、被写体の距離によって描写される雰囲気はことなり、繊細で柔らかい近距離、シャープネスの際立つ遠距離と異なる面が現れてくるのはこのモデルのみの独自の個性です。

ピント面のシャープさとともに、繊細な線描写を艶かしく潤いのある質感で覆う描画はライカレンズの中でも特にハッキリとしています。涙ぐんだようにピント面から滲んでいくボケ味によって、被写体の立体感や存在感は一層引き立ちます。

非球面レンズを一枚づつ手作業で削りだしていたため、非常に手間暇が掛かっています。そのために生産は1990年から1994年までの4年間しか行われていません。極端に本数の少ないレンズですが、発売当時から性能の評判が良く、大変人気のモデルです。

驚くべきシャープネスが加わった美しい描写の第四世代モデル

現行モデルである第四世代のズミルックス35mmは、第三世代でも極めて良く写ったレンズの描写がさらに向上しています。絞り開放時のピント部分のシャープさや、なにより被写体の立体感は今までのレンズの中でもっともずば抜けているのです。初代ズミルックスのようなソフトな描写とは一線を画する、新世代ライカレンズの到達点と言えます。

従来モデルよりも全長が若干短くなり、ライカとの組み合わせはますます良くなっています。

ヌケが良く、シャープなレンズは数ある一方、絞っても柔らかく、また繊細で湿り気のある濃厚かつ官能的なトーンや、溶けて崩れていくようなボケ味はズミルックス35mmでないと表現ができません。日常の一コマをまるで舞台の1シーンのように切り取ることができるのはこのレンズだけ。ライカの厳しい検査基準を通過した数少ない希少レンズの中で、この描写力を求める写真家が多いのは素直に頷けます。

ズミルックス35mm/f1.4は、初めてのライカ35mmレンズとしてずばりオススメする一本です。

現在のオークション出品

オークションの出品はないようです。

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スペック

発売年
1961年~
マウント
ライカMマウント
レンズ構成
5群7枚(第一世代)、5群9枚(第2世代~)
絞り
f1.4-f16
撮影距離
1.0m-無限(第一世代)、0.7m-無限(第2世代~)
フィルター径
41mm(第一世代)、46mm(第2世代~)
フード
OLLUX